2025年 夏
初めての実生育成に挑戦しました。
- アデニウム・オベスム
- アデニウム・アラビカム・キングコング
- アデニウム・タイソコトラナム
- パキポディウム・ラメレイ
- アガベ・チタノタ・ブルー
- ザントロエア・グラキリス(おまけ)
初めてとはいえ、何かしら実験をしたかったため
今回は用土の比較実験も兼ねてご紹介していきます。
- PROTOLEAF 室内向け観葉・多肉の土(細粒)
- MY PLANTS 健やかに育てるソイル
- PROTOLEAF 室内向け観葉・多肉の土(細粒)
- MY PLANTS 健やかに育てるソイル
- オリジナルブレンド
それ以外の光量、風、気温、湿度、肥料、活力剤
これ等の条件は全て揃えて6種50個以上のタネを実生から育成しました
2025年7月上旬の播種から8月の鉢上げ、9月の腰水卒業に至るまで
育成記録と用土比較の実験結果をご紹介します。
購入したサイトについて
SEEDSTOCKさんで種を購入しました。

梱包も丁寧でタネの小分けもすごくわかりやすかった
メルカリなどで買う方法もありますが
収穫して日が経っていたり、管理状態が悪いと発芽率が非常に悪くなる植物もあるため
入荷時期や発芽方法がしっかりサイト内で記載されているSEEDSTOCKさんがオススメです。
今回、キャンペーンで「ザントロエア・グラキリス」の種がオマケでついてきました。
準備物
先でご紹介した用土に加えて、実生育成は何かと事前準備が多めでした。
発芽率を少しでも上げるために購入したものの紹介です。
プラグトレーと水受け皿


ホームセンターにて5×5のプラグトレーを購入
水受け皿の写真がないですがこのプラグトレーが2枚入るサイズのトレイを購入
約1ヶ月間は腰水管理で水切れを起こさないようにする必要があります。
用土
播種用の用土は二種類用意しました。

プラグトレーに少量の鉢底石(軽石)を敷き、それぞれ用土を入れていきます。
PROTOLEAF 室内向け観葉・多肉の土(細粒)

配合原料:鹿沼土、パーライト、赤玉土
元肥:速効性化性肥料、緩効性化性肥料

かなり粒度が細かく粒揃いも良い
微塵は多めなのでふるいかけは必須
MY PLANTS 健やかに育てるソイル

配合原料:鹿沼土、軽石、ピートモス、パーライト、
元肥:無し ※活力剤成分は含まれているようです

原料によって粒度にかなり差がある(特に軽石が大きい)
しかし用土自体は軽く、ピートモスも配合されているため
根張りは良さそうな印象。
メネデールとベンレート

発芽率UPのおまじないとしてメネデール
実生はカビとの戦いと事前リサーチしていたため、殺菌用にベンレート
それぞれ1Lの水に対して
・メネデール:10ml
・ベンレート:0.5グラム(1包)
この水溶液を作っておきます。
環境
温度・湿度

昼間は冷房なし、夜間は27度設定で冷房を稼働させていました。
サーキュレーターは24時間稼働
周囲に空気の流れを作るように意識
かなり温度変化が大きい環境ですが
在宅時は「人にとって快適な環境」を重視しました。
光
播種時から現在も、部屋の中で日光が届きにくい場所に配置しております。
BRIM社のLEDライトを毎日12~18時間ほど照射することで光量を確保。
播種から鉢上げまで
2025年7月5日|播種前の準備

紙コップへSEEDSTOCKシールを貼り替えて目印に

メネデール+ベンレート水溶液に12時間浸透させました。
低温湿潤処理(Cold Stratify)という発芽率向上の方法があります
今回購入した種子たちはこの処理を一切せず、届いたまま水溶液へ浸透させ播種を行いました。
2025年9月10日現在
アデニウム系とパキポはほぼ全てが発芽し、アガベはかなり苦戦しているものの
保湿を行い、温度を調整することで突破できそうな雰囲気はあります。
オトンナなど、いわゆる冬型コーデックス系には抜群にハマるそうですが
種によっては逆効果になる可能性もあるみたいなのでご注意ください。
2025年7月6日|播種

左側にPROTOLEAF、右側がMY PLANTS
こう比較してもPROTOLEAFの細粒培養土の方が粒度が揃っていて初期の根は潜りやすそうなイメージ

覆土はせず、昨日余ったメネデール+ベンレート水溶席をスプレーで撒き
受け皿に1cmほどの水を張って腰水状態で管理していきます。
2025年7月8日|アデニウム系が即発芽






アデニウム系、特に”オベスム”の発芽スピードが顕著

腰水が減っては足し、水切れにだけ注意していきます。
2025年7月13日|順調なアデニウムと苦戦するアガベ、パキポディウム

この横一列が全て”アデニウム・オベスム”
12粒を播種し、1週間も経たずに全てが発芽


プラグトレーの一番上がアデニウム・オベスム
一番下の列がキングコングとタイソコトラナムです。
中三列は上から
アガベ、ザントロエア、パキポディウム

パキポディウムもようやく発芽しましたが
アガベ、ザントロエアは動く気配なし・・・
2025年7月25日|枯死したアラビカムと順調なアデニウムたち

南無・・・

プリップリで美味しそうなアデニウム・アラビカム・キングコング
こう見ると全て光源の方へ伸ばして行ってますね。
直幹にする場合は光の方向にも気を遣う必要があります。

変わらずオベスムは順調に成長し、上から4列目のパキポディウムも5つ発芽〜成長を続けています。
播種から2週間以上経過しましたがアガベ、ザントロエアは全く動かない。
2025年7月28日|専用ラックへ移動

Amazonにて三段のスチールラックを購入
上部にはBRIMのLEDパネルを設置し毎日12〜18時間程度照射
右側には植物専用のサーキュレーターを吊り下げ24時間稼働
2025年8月9日|成長が加速する

手前のキングコング、タイソコトラナム
この二種の塊根部の膨らみが日に日に増しており
葉の数、背丈も順調に成長中
新しく設置したパネル型LEDとサーキュレーターも育成促進にバッチリはまっている感じ。
鉢上げ(播種から35日)
播種 | 鉢上数 | 成功率 | |
---|---|---|---|
アデニウム・オベスム | 12 | 12 | 100% |
アデニウム・アラビカム・キングコング | 6 | 4 | 67% |
アデニウム・タイソコトラナム | 6 | 3 | 50% |
パキポディウム・ラメレイ | 12 | 5 | 42% |
オベスムは多少雑でも発芽すると聞いていましたが、驚異の100%
園芸店でも安価で売られていることも多いですが納得の結果に。
幼苗用にオリジナルブレンドした用土も使用したかったため
鉢上げする株は三種類の用土に分けて育成比較をしていこうと思います。

赤:オリジナルブレンド
黄:PROTOLEAF 室内向け観葉・多肉の土(細粒)
青:MY PLANTS 健やかに育てるソイル
できるだけ同じくらいの数、同じくらいの生育株で分けました
LEDの当たる角度、サーキュレーターの当たる角度が
若干異なりますが誤差程度。
ほぼ同じ環境下で鉢上げした子株たちの1ヶ月間を見ていきましょう。
2025年8月10日|鉢上げ直後

右側にはサーキュレーター(向いの壁に目掛けて風が当たる感じ)
上部にはこれまで通り、BRIMのLEDパネルを設置し12-18時間照射
多少根にダメージはあるので一旦腰水は継続していきます。
2025年8月23日|腰水の卒業

腰水を止めるタイミングについて、何十もの記事や動画を調べましたが
1ヶ月〜1年以上とかなり幅広い情報でした。
安定した水分供給:発芽直後の小さな根でも確実に水を吸える
乾燥リスク回避:表土が乾きやすい夏や暖房下でも萎れを防げる
管理が容易:水やりの頻度を減らせる、失敗が少ない
根の活着促進:初期段階では成長がスムーズに進むことが多い
過湿による根腐れリスク:酸素不足になりやすい
徒長しやすい:常に水が潤沢 → 乾燥刺激がなく、茎が間延びする
弱い根系になりやすい:水を探す力がつかず、鉢全体に根が回りにくい
カビが生えやすい:清潔維持が難しい
成長スイッチが入らないことがある:乾湿のメリハリが成長点を刺激するため
楽さを取るのであれば圧倒的に腰水管理ですが
毎日の水やりも特に苦ではないため
播種から48日目、鉢上げから13日目で腰水を卒業〜毎日の水やりへ移行することに
2025年9月5日|急成長する株と停滞する株
腰水卒業後、水やりはほぼ毎日(表土の乾きを見て半日遅らせるなど)行いました。
5~7日ごとに活力剤リキダスを、鉢上げから10日ほど経った段階で液体肥料のハイポネックスを
それぞれ1000倍〜2000倍の希釈率で与えた結果

モッサモサに


こうやって比較してみると、急成長している株と停滞している株があります。
育成環境を分析していきましょう。
分析

赤枠=オリジナルブレンド
青枠=MY PLANTSソイル
それ以外のあいだの鉢=PROTOLEAF
明らかにこの「オリジナル」だけ成長が早い。
調子が悪そうな株も全く無く、幹の太り方も健康そのもの。
次点で「MY PLANTS」ですが、鉢によってはピートモスが多く入ってしまっており
水はけが悪くなっている株の成長スピードが少し遅い
「PROTOLEAF」の用土に関しては成長がかなり遅く
葉が落ちるものもありました。
土について
播種は二種類の市販用土を使用しましたが
成長という点においてはほとんど差は無く
粒度の細かい「PROTOLEAF」社の細粒用土が、初期の根の潜りやすさ(安定性)という意味では
優秀だと感じました。
そこから一転、鉢上げ後~腰水卒業あたりを境に形勢逆転
オリジナル配合の用土が圧倒的に生育が良く、PROTOLEAF社の用土が一番遅いという結果に
オリジナル用土の配合

用土 | 割合 | 役割 |
---|---|---|
赤玉土 | 30% | 幼苗のため一定の保水力を担保 |
日向土 | 30% | 軽石 排水性 |
鹿沼土 | 20% | 酸性補強と排水性に加え、一定の保水力 |
バーミキュライト | 10% | 保水力と保肥力 |
ゼオライト | 5% | 保肥力と有害物質の吸着 |
竹炭 | 5% | pH調整と微生物活性化、排水性 |
明らかに竹炭だけ粒度が大きいですが気にせず混ぜました
無機質用土なので「微生物活性化」の意味があるのか?と思われますが
塊根植物の育成に入れている記事や検証が多かったため採用。
ここに元肥としてマグァンプKを混ぜ込んでいます。
市販用土と比較して優れていた点
排水・保水のバランスと元肥
腰水を卒業してからは水切れとの戦いでした。
12〜18時間のLED照射、24時間サーキュレーターで微風を送っているため
どの土も1日で表土が乾き切ってしまう状況
そのため毎日or1日半ごとに水やりする必要がありましたが
成長が遅い or 調子の悪い株を、オリジナルブレンド用土へ植え替えを行った際
理由がなんとなくわかった気がします。





めちゃくちゃ湿ってる
根腐れしているものは無かったものの、乾湿のメリハリをできていなかった
市販用土はどちらも播種、幼苗用として配合されており
保水性は抜群に良く、用土も柔らかいので根の張りやすさもありますが
排水性・通気性が足りずに毎日の水やりだと常に湿っている状態でした。
まとめ
播種前の準備
ベンレートで殺菌はやったほうがいい。
特にパキポディウムは発芽後のカビで半数が枯死しました。
最初にやってなかったら全滅もあり得たなと思います。
播種の土
土で大差無し。元肥要らん。とにかく根が潜りやすい細粒用土を使う。
細粒の赤玉土オンリーとかでも良いと思う。
バーミキュライトはカビやすいらしいので注意。
播種用のトレーについて
柔らかいプラ素材のプラグトレーはやめたほうがいい
腰水をしていると2~3日で水受けトレーに水垢が出てきます(夏場特に)
トレーの洗浄で移動させる際、土の重さで[プラグトレーが変形→土が動いて株が倒れる]
この事故が何度もありました。
最初から「プレステラ」など硬度のある素材を使うべし
播種2ヵ月目以降
毎日の水やりができるのであれば腰水をやめても○
その場合は保水・排水バランスの取れた用土で
小粒の[赤玉1:鹿沼1:軽石1]等で最低限オッケー
元肥でマグァンプK、週一の活力剤は効果抜群
秋になると成長も緩慢になっていきますが
本格的な冬までに少しでも丈夫な株にできるよう育成していきます。
つづく。