日本では流通が少なく、比較的レア品種です。
育成方法も日本語サイトが充実しておらず
主に海外の研究論文やサイトを調べて育成環境を考えていきます。
フィカス・アブチリフォリアの特徴

原産
熱帯アフリカ(ナイジェリア、スーダン etc)
サバンナ地帯、山の岩場や石灰岩質の土壌に自生
土壌
- 軽くて中程度の肥沃度、水はけの良い土壌を好む。
- 排水の良い砂礫質が理想。
- pHは6~6.5の範囲を好み、5.5~7まで耐える。
- 原生地では花崗岩、玄武岩、ラテライトなどの割れ岩に着生する。
気候
- 年間を通して直射日光のよく当たる環境
- 日中の気温が18~25℃の範囲にある地域で最もよく生育するが、14~30℃の温度にも耐えられる
- 軽い霜には耐えられるが、-1℃以下の気温では枯死する
降水量
- 年間平均降水量は400~2,500mmを好むが、250~3,000mmまで耐えられる
根
- “半”着生性
- 岩場に張る強靭な根で、乾燥には強いが過湿に弱い。
- 最大60メートルもの長い根を生じることができ、これらは地下水源を探し求め、植物を非常に干ばつに強いものにする
葉
- 大きなハート形でやや革っぽい(ウンベラータに近いがより厚い)
- フィカスの中では厚みがあり乾燥に耐える。
- 光量不足では葉が小さくなる。
成長速度
- ややゆっくりだが、環境が合えば数年で樹木状に育つ。
その他
- 耐乾性、耐暑性は強いが耐寒性は弱め(10℃以下で落葉)
- 成木になると幹肌が白っぽくなり、観賞価値が高まる。
育成環境を考える
上記の特徴を意識しつつ土・鉢・置き場所を決めましょう。
用土構成(オリジナル)
結論、多肉植物寄りの用土構成です。
“石灰質を含む土壌”・”ラテライト”
これらはアルカリ性に傾きやすいと思うのですが、pHとしては弱酸性寄りがベターらしい。

用土 | 割合 | 役割 |
---|---|---|
日向土 | 40% | ベース 排水材 |
赤玉土 | 30% | 保水&排水バランス・保肥 |
鹿沼土 | 15% | 保水&排水バランス・酸性 |
ベラボン | 10% | 通気性改善と保温 |
竹炭 | 5% | 消臭、pH調整、微生物活性化 |

ここにマグァンプKを規定量混ぜ込みます
用土構成の意図
日向土(40%)
“排水性”が最重要項目なのでベース(骨格)素材として起用
軽石でも同様の素材として代用可能です。
赤玉土(30%)
最低限の保水力と保肥力を確保するため。
さらに比重が他の土よりも重いため、株元を安定させます。
鹿沼土(15%)
保水性・排水性は赤玉土と同程度ですが保肥力は弱め。
酸性補強素材です。(竹炭を入れるため)
ベラボン(10%)
通気性が良く空気を含みやすいため、夏は涼しく冬は暖かい。根張りも促進させます。
一応、有機系の素材ですが劣化しにくく2〜3年は持つみたいです。
比重がかなり軽いため、多く入れすぎると株元がグラつきます。
竹炭(5%)
有害物質を吸着し消臭効果もあり、酸性土壌の中和、微生物の活性化
入れすぎるとアルカリ性に偏りすぎるため全体5%以内で抑えました。
全体でpHはおおよそ6.2前後の想定で“弱酸性”用土となります。
今回のフィカス・アブチリフォリアは多肉植物寄りな構成で
保水性・保肥力が過剰にならないよう、ゼオライトは入れていません。
(ゼオライトは保水性・保肥力の向上に有効な補助用土)
鉢
盆栽コーデックスとしても人気の高い本種。
成長スピードも他のフィカス属よりは遅いと踏み、焼物の陶器鉢をチョイスしました。
“素焼鉢”や”駄温鉢”ほどでは無いものの、通気性に優れており、過湿を防ぎやすい。
和の雰囲気も漂い、盆栽風観葉には欠かせません。
置き場所

午前中のみ直射日光が当たる東向きの窓際へ配置
これだけだと日照不足になりそうなので、午後は植物育成用LEDで保光をします。
植え替えの様子

底面で根がローリングしています。

しかし表土付近にも根が上っており、全体的に根張りは良い方なのかな?と思います。
ほぼ無機質用土へ植え替えるため、根鉢をほぐすと同時に既存の有機質の土を取り除いていきます。
ある程度の土を落とした様子がこちら

根の先端が黒く変色していたり、カサカサで明らかに機能していなさそうな根は切り落とします。
植え替え後の様子

“深さ”よりも”広さ”を重視した鉢へ植え替え完了です。

黒い富士砂などを化粧砂&マルチング材として敷くのも良さそうですね。
飛び出ている気根は完全に木質化しており土の中に誘導させることができませんでした。
植え替えですでに大ダメージなので、今はいったん放置して落ち着いたら取り除こうと思います。

特徴的なハート型の葉っぱ
ウンベラータに似ていますが、より分厚く、なんとなく革っぽい感じ。
フィカス・ベンガレンシスの質感に近いです。

フィカス特有の新芽の出方ですね。
この新芽が動き出すまでは、液体肥料は与えず明るい日陰で管理し
土が9割ほど乾いたら(2-3日前後に1回)メネデール希釈水で水やりをしていきます。
現在、9月23日
気温もかなり落ち着き、どんどん日照量も減ってきていますが
冬越しの準備のため、早めに微粉ハイポネックス(根肥)などで株をガッチリとさせていきたいところです。